クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ

前作のヤキニクロードを見て感じた違和感が何となくハッキリとつかめたような気がする今作。もちろんそれは、つまらなかったとかガッカリだというネイティブな方向への認識ではなく、今までのクレヨンしんちゃんとはちょっと違うのかもしれないう方向転換的な認識です。
今作は前作とはうってかわってストーリー重視・ヒロイン重視。ヒロインであるつばきの可愛らしさというか愛らしさは卑怯だと思うくらいにスバラしかったです。あの「宴会後の二次会で終電がなくなってしまってとりあえずカラオケボックスで暇をつぶそうか〜という感じで、みんなが知っている歌を入れたので一緒に歌おうぜ〜」的な曲であるNo Planの「○あげよう」が流れるエンディングに不覚にも感動してしまったのは、ストーリーの中にしんちゃんとつばきの関係を描ききっている証拠だと思います。まぁ、映画の中身について偉く語れるほど人間的に成長もしてないですし頭もよくないので、くどくど書くことはしようと思わないのですが、何にしても思ったコトが一つ。
西部劇というものを舞台にしたことで、悪者による弱者への理不尽な暴力というのは必須ということなのでしょうか。子供や弱者に対する鞭や馬での引き回しによる暴力は子供が見るべき映画には必要ない…というか、必要であっても不要にすべきだと思うのです。自分自身に子供がいて、その子供に直接的な暴力を見せたいかと思うかと言えば、それはNoという回答の方が多いでしょう。たとえ、最後の最後に見せるカタルシスへの道筋だとしても、そうじゃない方法を模索すべきだったように思えます。本郷さんや原さんの作品では、子供たちや弱者に対する本当に直接的な暴力はなかったのではないでしょうか。*1たとえば、オトナ帝国ではしんちゃんたちを襲う大人たちだって銀玉鉄砲やパチンコなんかが主力武器でしたし、戦国大合戦でもしんちゃんが襲われそうになるときには身を挺してひろしとみさえが助けていました。映画としては善対悪なのですが、その悪が限りなくバカバカしくそして愛らしいというのが、クレヨンしんちゃん映画の好きなところなのです。ヤキニクロードでは敵の全貌がいまいちよくわからないし、カスカベボーイズでは完全なる悪です。

内容は最初のほうに鞭で人をうつシーンやロープで引きずりまわすシーンもかなりあり、見せなければよかったかもと思った。

子供の親から見ると、そういうコトなのかもしれません。確かに、クレヨンしんちゃんは家族愛や仲間と言った、実写にしてしまうと恥ずかしいようなコトを、子供という立場を利用してあっけらかんと見事にやってしまう映画で、内容の奥深さからも「大人が十分楽しめる」映画だというコトは間違いないと思います。しかしながら、クレヨンしんちゃんはあくまでも「子供向け映画」なはずです。その大原則が、なんだかどっかにいっちゃっているんじゃないかなぁ。と思った前作と今作です。*2

*1:すべて見ている訳ではないし、記憶力が悪いので忘れているだけかもしれませんが…。あ、雲黒斎はちょっと直接的すぎかも。

*2:なんて、子供でもなく子供がいるわけでもない中途半端な人間からの勝手な話ですが…