機動警察パトレイバー

戦争だって?
そんなものはとっくに始まってるさ。

問題なのは如何にけりをつけるか、それだけだ。

戦線から遠退くと楽観主義が現実に取って代る。
そして最高意志決定の場では、現実なるものはしばしば存在しない。
戦争に負けている時は特にそうだ。

何の話だ。少なくともまだ戦争など始まってはおらん。

始まってますよとっくに! 気付くのが遅過ぎた。
柘植がこの国へ帰って来る前、いやその遥か以前から戦争は始まっていたんだ。

突然ですがあなた方には愛想が尽き果てました。
自分も南雲警部と行動を共に致します。

後藤君。君はもう少し利口な男だと思っていたがな。二人とも連れて行け。

>たった今自衛隊機の爆撃により、東京湾横断橋が!

だから! 遅過ぎたと言ってるんだ!

やべぇ!チビりそうな位カッコイイ台詞の数々…。ありふれた言い方をするならば、今現在の世界情勢・日本情勢の未来予想図のような機動警察パトレイバー 2 The Move。改めて見てみると、こんなにおもしろいとは。10年前とは思えないほどのすばらしく書き込まれたリアルな作画。細かすぎる、丁寧すぎる設定。今のように、何もかもCGで表現してしまうわけではなく、効果的に使われるCG。パトレイバーの主人公たちが活躍する映画ではなく、押井守監督戦争論をまとめたような、一つの芸術作品。さすが、高校時代に学生運動に身を投じただけあって、すばらしい内容です。嗚呼!ホントに俺は、この国生まれてよかった!

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というわけで、人生あきらめずに死ななくてよかったと切に思わせてくれる作品に出会うたびに私は幸せになります。この、パトレイバー2は表題こそ「パトレイバー」ですが、主人公クラスの台詞は微々たるモノ。最後の最後に活躍するだけで、道中の物語はオヤジ達だけで進んでいきます。漫画やアニメの主人公達は脇役に追いやる。冠をかぶっていながら中身はまったく違うのだから、10年前の上映時に映画館で期待して見た人たちには賛否両論だったかもしれませんが、それを超えて一つの作品として考えさせてくれるのです。涙を流すような感動があるわけではなく、ただただ台詞と映像に痺れる。何度も見たくなってしまうような、台詞を全て書き起こしたくなるような、そんな映画。

映画はすばらしいです。ホントに。だけど問題は…。このDVDボックス。絵コンテの入った本の表紙がDVDケースの様になっていて、まるで本のオマケのようなしまいかた。表紙が分厚いので、中の絵コンテは読みにくいし、イチイチ気を遣うしで大変です。どうせなら、トールケースと普通の本にわけて、一つのボックスに入れて欲しかったです。押井守監督の絵コンテなんてなかなかみれないらしいので、非常に貴重な本なのですから、せめて読みやすくして欲しかったです。確かに、店頭でみたときにカッコイイとは思うんですが。おのれ!バンダイめ!

とりあえず、明後日くらいに1をみよう。実は、1は2に比べると…と思ったりしているのですが、パトレイバーとしてのおもしろさは1の方が大きいように思えます。先日、すばらしく尊敬する方からパトレイバーOVAを借りて見ていたので、パトレイバーらしいパトレイバーをもう一度しっかりと見てみたいと思います。嗚呼、楽しみだなぁ。