灰色の指先


平均睡眠時間3時間弱。
納期直前の意味無し要員大量投入。

掲示板で某ska_kingくんが死にそうになりながらガンバッテいますが、往々にしてシステム開発というのはデスマーチ(専門用語)になりやすいモノで、ちょっと前に発売されていた日経コンピュータなんかには「日本のシステム開発の成功率は3割以下」なんて記事がのっていたくらいです。この3割というのは、たぶん、相当大目に見ての3割だと思うので、実際の成功率はもっと低いでしょう。間に合ったとしても、顧客の要望したものではなかったりマトモに動かないシステムだったり。期限内に完成するコトが成功ではないのは、当然のことです。

まぁ、たいていの場合は上司とかが悪かったりするんですが…。特に「納期直前の意味無し要員大量投入」というのは一番不幸なパターンではないでしょうか。ウエの人間というのは、人月なんかで机上の計算をするわけですから「人が多ければ人月が増えるわけで、システムの開発が早く終わる」なんていう風に計算してしまうわけです。実際の現場からしてみれば、納期直前にシステムの仕様を理解していない人間が入ってきたところで、単なる邪魔者にしかならず、余計に納期を遅らせる結果となるわけです。で、システムの開発が遅れたりすると、そのプロジェクトのリーダは「こんなに人を入れたのに、なんだこの様は」ということになり、降格処分→自社ビルの屋上から投身自殺とかなるわけです(行き過ぎ。

そんな上司に送りたい本。
人月の神話―狼人間を撃つ銀の弾はない

『人月の神話』はすでに古典と呼んでもよいほど有名な本だ。もし、この本のタイトルを知らなくても、ソフトウェア開発にかかわっている人であれば「ブルックスの法則」は聞いたことがあるはずだ。ブルックスの法則の中で最も有名なのは、「遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加はさらに遅らせるだけだ」というものだ。

原書は1975年に出版され、その後長い間読み継がれてきた。これは、ソフトウェア開発における問題は、本質的には変わっていないことを意味している。ブルックスの言葉はさまざまな書籍でも引用され、賛同あるいは反証が示されてきた。さらに本書では、ブルックスのもうひとつの衝撃的な論文「銀の弾などない」(1986年発表、IEEE COMPTER誌の1987年7月号に再録されている)も第16章に収録されている。この論文では、「ソフトウェアの生産性をひとりでにもたらすようなプログラミング技法は今後10年間は登場しない」と予言し、議論を引き起こした。この論文を含むブルックスの主張は、その後のコンピュータおよびソフトウェア技術の急速な発展により、一部は誤認であったことが著者自身により認められている。だが、その一部を除く大半は今でも成り立つものだ。プロジェクト管理に関心があるのであれば、一度は読んでおきたい。

「遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加はさらに遅らせるだけだ」というブルックスの法則は未だに生きているのです。ハードウェアも開発環境もこれだけ進化したのに、本質的な部分は全く進化していない。そんな手工業的な世の中がシステム開発なのです。

…とまぁ言っても、もっとスンバラシイ開発をしているところはあるはずです。ATMが止まっても、個人情報が流出しても、ソレは一部の話。他のシステムは、ちゃんと、しっかりしているはずですよね!(期待を込めて