12月18日 市川文化会館

今唐突に、それも確定的に思ったことがあるのです。

ご存じの通り私は陽水の歌が好きなのですが、その中でも背筋が凍るような、その歌詞を聞くたびに「ゾクッ」っとしてしまう歌詞があります。その歌詞は「東へ西へ」の2番目にある「床に倒れた老婆が笑う」という歌詞。彼女と桜を見に行くために乗った電車は、いつも通りの満員電車。スシズメの車内で老婆が倒れる。それ自体は何らおかしい情景ではなく、十分にあり得る状態なのですが、そこに「笑う」がつくというのが恐ろしい。本来ならば「可哀想なおばあさんだ。全くヒドイ世の中だ」というコトになるわけですが、「倒れた老婆が笑う」ことでその全てを吹き飛ばし、異常というベクトルへ一気に遷移してしまうのです。なぜ笑うのか?電車の中で出ようとするサラリーマンに押され、床に倒れながら笑い踏みつけられる老婆。この、東へ西へはそういう黒い魅力がある曲なのです。

てなわけで、市川文化会館コンサート。井上陽水コンサート2003の千秋楽でもあり、地元千葉で開催されると言うこともありまして、2ヶ月前から休みの予定を入れていたりしました。前回の川崎でのコンサートに非常にありがたいコメントを頂いたりして、とってもありがたかったりするのです。だけれども、遅筆なコトには代わりがないので今更Entry。

市川文化会館は家から来るまでいける距離と言うこともあり、陽水のコンサートで初めて車で移動。とは言っても、駐車場がそんなに確保できるとも思えないので会場の近所にあるニッケコルトンプラザに駐車することにしました。ここはシネコンもあったりするので、見よう見ようと思っていたマトリックスレボリューションズなんかもついでに見ました。見た感想は一言だけ。「馬鹿映画最高!」

映画も見終わってコンサート会場へ移動。
相変わらずこぢんまりとした会場で、近くにコンビニもなかったりして飲み物を買ってこなかったことにちょっと後悔。まぁ、会場でお茶を飲むと年でトイレが近い私としては、すぐにトイレに行きたくなってしまうのでちょうどよかったのですが。

周知のセットリスト

01.東へ西へ
02.雪が降る町(UNICORN
03.コーヒー・ルンバ
04.青空ひとりきり
05.クレイジーラブ
06.花の首飾り
07.カナリア
08.WINTER WONDERLAND
09.White Christmas
10.お願いはひとつ
11.リバーサイド ホテル
12.ワインレッドの心
13.嘘つきダイアモンド
14.少年時代
15.とまどうペリカン
16.ミス キャスト
17.氷の世界
18.最後のニュース
〜アンコール〜
19.渚にまつわるエトセトラ
20.星のフラメンコ
21.夢の中へ
22.帰れない二人
23.傘がない

前回の川崎でのコンサートとの違いを挙げると、「雪が降る町」「WINTER WONDERLAND」「White Christmas」「帰れない二人」の4曲。
初っぱなは、前述した「東へ西へ」でした。コンサートで演奏する東へ西へはアルバムに収録しているモノと全然違って、ものすごくノリがいいのです。明るいからこそ、歌詞の暗さが際だつのです。
目立ったところとしては「雪が降る町」です。知識のない私は最初「おぉ、新曲ですか!」みたいに思ったのですが、なんだか陽水っぽくない歌詞。調べてみると、unicornの非常に有名な曲なのですねぇ。なんか素敵な曲でした。日記みたいな曲。
他はクリスマス関連。「WINTER WONDERLAND」「White Christmas」の二曲。日本で暮らしていると年末時にはイヤでも耳に入ってくる代表曲です。最初のWINTER WONDERLANDは陽水が歌ったのですが、次のWhite Christmasは「会場の中で今日、誕生日の人〜」という問いかけに答えた勇気ある女性と一緒に歌ってました。ちなみに、陽水が女性の肩を抱くように歌ってました!肩を!くそっ!くそっチキショウ!
…スイマセン、取り乱しました。英語の歌はいいです。とにかく楽しそうに歌うので、見ている方も楽しくなってきます。他の曲は基本的に前回のコンサートと同じような感じ。

さて。
陽水のコンサートの魅力の一つはMCです。たまに番組に出演したりすると、そのよく言えば独特の悪く言えばよくわからねぇ言葉の数々は聞けるわけですが、コレが非常に魅力的です。一見すると口べたなような感じがして、観客から「陽水〜がんばって〜」みたいな声がするのですが、個人的にアレはわざとのような気がして。あのくらいの人が舞台で緊張するわけないですし、市川でのコンサートの時は「どうも〜市川の皆さん。市川ソウスケです」とかいう意味のわからないコトを言ったり、「ソレにしても、最近はアレですね」「そうそう、最近は…なんでしたっけ?」というホントに会話としてはすでに破綻している感じが素敵です。

この辺は行ってみないとわからない感じです。独特のしゃべりは、ホントに中毒になります。ただ、シッカリと言うことは言っているのが素敵。

最近は世界情勢もいろいろと危ないことが多くて…。世間も暗いニュースが多いんですが、それでも、男女の関係が何となくうまくいってると「世の中、辛いこともあるけど、幸せだよね」なんて思ったりもするわけで…。逆に、世の中がすごく幸せでみんな平和に生きていても、男女の関係がうまくいってないと「世の中、幸せだけど、なんか辛いよね」みたいな感じになって…。
なんて言いながら「とまどうペリカン」に移ったりするのです。

…と、コンサートから少し横道にそれました。
多少なりともイメージが伝わってくれると幸せなのですが…なかなか難しいですなぁ。

では次回。
恵比寿の素敵なクリスマスコンサート。